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観音山大悲院法性寺は、永徳二年(1382)了誉聖冏上人によって開基された浄土宗の寺である。聖冏上人は、南北朝時代の応安5年(1372)に現在地西方の観音堂に「横曽根談所(講義所)」。を開設し、浄土宗の講義を行ったといわれる。観音堂での十年にわたる浄土教教理確立の後、永徳二年現在の地に法性寺を開創した。 聖冏上人は、浄土宗第七祖(法然上人から数えて七代目の継承者)で、浄土宗の宗風を顕揚し、教団としての基礎を固めた日本宗教史上重要な人物である。岩瀬城(旧、大宮町)城主白石志摩守の長男として生まれた聖冏上人は、戦乱による落城の折に受けた眉間の刀傷から新月のような光を放っていたと伝えられており、故に「三日月上人」とも呼ばれている。上人の高弟に増上寺を建てた聖聡(しょうそう)上人、また聖聡上人の門弟には飯沼弘経寺を開いた嘆誉良肇(だんよりょうちょう)上人などがいる。 聖冏上人が、下総を布教中、女人の死霊が現われ「お産で命を失ったが成仏できずに苦しんでいる。どうか供養してほしい」との懇願を受けた「因縁浅からず」と祈願したのが本尊の如意輪観音(にょいりんかんのん)であった。この後、法性寺は子育て・安産の守り本尊として信仰されるようになり、「横曽根の観音さま」の名で親しまれて多くの信仰を集めてきた。現在も安産祈願の人々が後を絶たず、「安産御腹帯授与」を行っている。かつて、法性寺を中心にした観音講(かんのんこう)・三日月講(みかずきこう)が催されたが、現在は各集落ごとに女性の集いとして脈々と引き継がれている。 本尊の「木造如意観音坐像」は、南北朝時代の特徴を備えた応安5年正月の作(像内に年紀・作者名・願主名の墨書)で、昭和62年に市指定、そして平成7年に県指定の文化財となった。また、画幅「絹本着色聖冏像(けんぽんちゃくしょくしょうげいぞう)」は、三日月を額に表した聖冏上人の姿を精緻な表現で描いた江戸時代前半の作といわれるもので、昭和62年に市指定の文化財となっている。
創建年代 :1382年(永徳二年) 、了誉聖冏上人によって開基
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